おとり物件とは?特徴・見分け方・対処法を解説!
投稿日: 2025年3月11日

はじめに|おとり物件とは?なぜ注意が必要なのか
おとり物件とは?実際に契約できない物件の仕組み
「おっ、めっちゃいい物件見つけた!」と思って不動産会社に問い合わせたら、「すみません、その物件はもう決まっちゃいました……」と言われた経験、ありませんか? もしかすると、それはおとり物件かもしれません。
おとり物件とは、実際には契約できないのに、不動産サイトや広告に掲載されている物件のこと。以下のようなケースがあります。
- そもそも架空の物件で、存在しない
- すでに契約済みなのに、わざと掲載し続けている
- 情報の更新が遅れていて、実際にはもう募集が終わっている
なぜこんなことが行われるかというと、「とりあえず問い合わせを増やして、来店してもらうこと」が目的です。
多くの場合、「この物件は決まっちゃいましたけど、他にも似たような物件ありますよ!」と、別の物件を紹介されるのが典型的なパターンです。
もちろん、すべての不動産会社が悪質ではありませんが、おとり物件に引っかかると無駄な時間を使ってしまうため注意が必要です。
どうしておとり物件が問題視されるのか?
おとり物件が厄介なのは、借主側にとってデメリットしかないことです。
時間と労力を無駄にする
「良い物件を見つけた!」と期待して問い合わせたり、わざわざ店舗まで行ったのに、その物件に住めない…。これはかなりの時間と労力の無駄です。
条件の良くない物件を勧められることが多い
おとり物件に問い合わせた際、「せっかく来店したから」と条件の悪い物件を強引に勧められることがあります。結果的に、最初に考えていた条件より劣る物件を契約してしまうリスクも。
不動産会社に対する信頼を失う
「この会社、最初から嘘ついてたのか…」と感じれば、当然その不動産会社を信用できなくなります。今後のやり取りも不安になり、良い取引ができなくなることも。
本来、おとり物件のような誤解を招く広告は禁止されています。不動産公正取引協議会のルールでは、契約が決まった物件は速やかに削除するべきとされており、悪質な場合は指導や罰則の対象になることもあります。
とはいえ、完全におとり物件をゼロにするのは難しいのが現実。だからこそ、事前に「おとり物件の見分け方」を知っておくことが重要です!
この記事では、おとり物件がどうやって発生するのか、その仕組みを詳しく解説していきます。
おとり物件ができる背景と種類
おとり物件が発生する理由は、大きく分けて「意図的に掲載されるケース」と「業界の仕組み上、発生してしまうケース」の2種類があります。前者は、不動産会社が意図的に問い合わせを増やすために使う手法であり、後者は情報の伝達や更新が追いつかないことで生じるものです。
それぞれの背景を理解しておくことで、おとり物件に振り回されるリスクを減らせます。
意図的に掲載されるケース(悪意のあるおとり物件)
おとり物件の中には、集客目的で意図的に掲載されているものがあります。例えば、相場よりも条件が良く魅力的な物件を広告に出し、問い合わせが入ると「すでに決まってしまいました」と伝える手法が典型的です。
そして、「似た条件の物件があるのでご紹介できますよ」と別の物件へ誘導するのが狙い。このような不動産会社は、まず来店してもらうことを最優先にしており、一度店舗に足を運んでもらえれば、他の物件も紹介しやすくなります。
実際、こうした意図的な掲載は不動産公正取引協議会の規定に違反する可能性があり、監視が強化されています。しかし、今でも一部の不動産会社では、集客目的でこの手法が使われており、完全になくなったわけではありません。
ミスや業界の仕組み上発生するケース
すべてのおとり物件が意図的に作られるわけではありません。情報の管理や業界の構造の問題によって、結果的におとり物件のように見えてしまうケースもあります。
例えば、SUUMOやホームズなどの不動産ポータルサイトでは、契約済みの物件が掲載されたままになっていることがありますが、これは単なる情報の更新ミスが原因であることが多いです。
- 成約済みの物件は、元付会社が削除するルールですが、システムの更新が週に1回しか行われない場合、すぐに削除されないことがある。
- 複数の不動産会社が同じ物件を掲載している場合、一社が削除しても、他社の情報は残ることがある。
特に、1月から3月の繁忙期は物件の成約スピードが速く、情報の更新が追いつかないケースが多発。「午前中に問い合わせたのに、午後には決まっていた」という状況も珍しくありません。
おとり物件には悪意のあるものと仕方なく発生するものがある
おとり物件には、意図的に掲載されるものと、業界の仕組み上、情報の遅れで発生するものの2種類があります。
- 意図的なケース:問い合わせを増やし、来店につなげるための集客目的で利用される。
- 情報の遅れによるケース:情報の伝達の遅れや、業界の構造的な問題で結果的に発生してしまう。
どちらのケースでも、借主にとっては無駄な時間を取られる原因になります。特に遠方からの問い合わせや急いで物件を探している場合は、慎重に対応することが重要です。
おとり物件の特徴と見分け方|引っかからないためのチェックポイント
おとり物件を見分けるためには、いくつかの特徴を知り、事前に確認できるポイントを押さえておくことが重要です。 「条件が良すぎる」「問い合わせたらすぐに決まっていた」など、不自然な点がないかチェックすることで、無駄な時間を使わずに済みます。
ここでは、おとり物件の特徴と、それを見分ける方法について解説します。
特徴① 相場よりも家賃が極端に安い
相場より明らかに安い物件には注意が必要です。例えば、同じエリア・広さ・築年数の物件が家賃8万円前後なのに、1部屋だけ6万円で掲載されている場合、それが本当に契約できる物件なのか疑ったほうがよいでしょう。
不動産会社は、問い合わせを増やすために目を引く物件を掲載します。そのため、実際には契約できない架空の物件や、すでに成約済みの物件をわざと掲載し続けることがあります。
もちろん、何らかの理由で相場より安くなっている物件も存在しますが、その場合は「なぜ安いのか?」が明確に記載されているはずです。特別な理由が示されていないのに相場より大幅に安い場合は、注意が必要です。
特徴② 問い合わせると「すでに決まりました」と言われる
問い合わせた直後に「すでに決まりました」と言われる場合、おとり物件の可能性があります。不動産会社によっては、確認もせずに即答するケースもあり、その場合は特に注意が必要です。
通常、不動産会社は物件の空き状況を管理会社や社内データベースで確認します。それをせずにすぐ「決まりました」と言うのは、不自然な対応です。また、成約済みの物件をいつまでも掲載していること自体も疑問が残ります。
見分け方① 事前に物件の最新状況を確認し、現地集合での内見を依頼する
おとり物件の多くは、「とりあえず店舗に来てもらう」ことが目的です。そのため、内見の際に「現地集合でお願いします」と伝えると、対応が変わることがあります。
- 本当に契約できる物件なら、現地集合でも問題なく案内してくれるはず。
- おとり物件だった場合、「一度店舗に来てください」と言われる可能性が高い。
また、問い合わせ時に「もしこの物件が募集終了になったら教えてください」と伝えておくのも効果的です。これを嫌がる不動産会社の場合、最初からおとり物件の可能性があると疑ってよいでしょう。
見分け方② 複数の不動産会社に問い合わせて比較する
同じ物件が複数の不動産会社で紹介されている場合は、複数の会社に問い合わせるのが有効です。
- A社では「決まりました」と言われたのに、B社では「案内できますよ」と言われた場合、どちらかの情報が正確でない可能性がある。
- 特定の不動産会社だけが「うちでしか契約できません」と案内している場合、囲い込みの可能性がある。
こうした比較を行うことで、情報の正確性を見極めることができ、無駄な時間を減らすことができます。
おとり物件に引っかかったときの対処法
おとり物件に問い合わせた結果、「すでに成約済み」と言われたり、強引に別の物件を勧められたりすることは珍しくありません。 そこで焦って契約してしまうと、希望と違う物件に住むことになりかねません。
ここでは、おとり物件に引っかかったときの具体的な対処法を紹介します。
対処法① 内見前に改めて物件の募集状況を問い合わせる
内見の予定を組んだのに、当日になって「もう決まりました」と言われることがあります。この場合、わざと来店させるためにおとり物件を使った可能性があります。
これを防ぐためには、内見前に改めて物件の募集状況を確認するのが効果的です。例えば、以下のように問い合わせましょう。
- 内見の前日または当日の朝に「この物件、今も募集していますか?」と確認する
- 「募集が終了した場合は事前に教えてください」とあらかじめ伝えておく
事前に再確認することで無駄足を防げますし、対応が曖昧な会社なら最初から信用できないと判断できます。
対処法② しつこく他の物件を勧められたら無理に契約しない
おとり物件の目的は、来店させて別の物件を契約させることです。そのため、 「この物件はもう決まりましたが、他に良い物件がありますよ」 としつこく勧められるケースがあります。
希望に近い物件なら問題ありませんが、あまりにも条件が違う物件や、強引な営業を受けた場合は要注意です。
- 無理に契約を急かす会社は、初期費用が不透明だったり、契約内容に不利な条件が含まれている可能性がある。
- 少しでも違和感があれば、その場では契約せず、「一度持ち帰って考えます」と伝えて冷静に判断。
対処法③ 不動産ポータルサイトの通報機能を利用する
SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトには、「この物件が実在しないのでは?」といった通報機能があります。
明らかにおとり物件だった場合、ポータルサイトに通報することで被害を防止できます。
- 通報は、物件詳細ページの「不適切な情報を報告する」リンクなどから簡単に行える。
- おとり物件を放置すると他の利用者も同じように時間を無駄にしてしまうため、気づいたら積極的に通報を。
ただし、通報してもすぐに削除されるわけではありません。運営側が調査するため、対応に時間がかかる場合があります。
そのため、「通報すればすぐに解決する」とは考えず、情報提供の一環として利用しましょう。
理想の物件を見つけるためのポイント
理想の物件を見つけるためには、スピーディーな決断と情報収集が欠かせません。特に賃貸市場では、良い物件ほどすぐに埋まるため、タイミングを逃さないことが大切です。
良い物件はすぐに埋まる!決断スピードを意識する
人気のある物件は、掲載されてから数日以内に申し込みが入ることが多く、「気になっていたけど迷っているうちに埋まってしまった…」というケースもよくあります。
特に、駅近・築浅・家賃が手頃な物件は競争率が高く、問い合わせをした時点で「すでに申し込みが入っています」と言われることも少なくありません。
そのため、「良さそう!」と思った物件はすぐに内見の予約を入れることが重要です。ただし、焦って契約を決めるのはNG。事前に希望条件を整理しておき、冷静に判断することが大切です。
繁忙期(1~3月)は特に競争が激しい!事前準備が重要
賃貸市場の繁忙期(1月~3月)は、進学・転勤・就職などの影響で引っ越しする人が急増します。この時期は物件の動きが早く、早めの行動が求められます。
スムーズに部屋を決めるための事前準備はこちら。
- 希望条件(家賃・間取り・エリアなど)を明確にしておく
- 引っ越しのスケジュールを決め、いつまでに契約するかを考えておく
- 必要な書類(身分証明書・収入証明書など)を早めに準備しておく
また、「この条件ならすぐ申し込む」という判断基準を事前に決めておくと、内見後に迷わず行動できます。
不動産会社との関係を築くと、最新情報を得やすくなる
良い物件を見つけるためには、不動産会社との信頼関係が重要です。信頼できる担当者と関係を築くことで、最新の空室情報をいち早く教えてもらえる可能性が高まります。
- 希望条件を明確に伝える(家賃・エリア・築年数など)
- 無理な値下げ交渉を避け、誠実にやり取りする
- 対応が丁寧な担当者を見極めて、信頼できる人と取引する
特に繁忙期は不動産会社も忙しく、対応が雑になることがあります。しっかりコミュニケーションを取りながら、信頼できる担当者を見つけましょう。
まとめ|おとり物件に惑わされず、理想の部屋を見つけよう
おとり物件に引っかからないためには、次のような工夫が必要です。
- 相場より安すぎる物件には注意
- 問い合わせた物件の募集状況を事前に確認
- 現地集合での内見を依頼する
また、事前に希望条件を明確にし、スムーズに決断できる準備を整えておくことで、無駄な時間を減らし、理想の物件に出会える確率が高まります。
特に1~3月の繁忙期は競争が激しくなるため、早めの行動と情報収集が重要です。不動産会社との関係を築いておくことも、有益な情報を得るための大切なポイントになります。
部屋探しは時間との勝負ですが、焦りすぎず、慎重に判断することも忘れずに。信頼できる不動産会社と協力しながら、納得のいく物件を見つけて、安心して新生活をスタートさせましょう。
よくある質問|おとり物件に関する疑問を解決!
Q1. おとり物件は違法じゃないの?
おとり物件の掲載は、不動産公正取引協議会の規定に違反する可能性があります。意図的に架空の物件を掲載し、来店させる目的で利用している場合は問題となることが多いです。
ただし、業界の仕組み上、情報の更新が遅れた結果、おとり物件のように見えてしまうケースもあります。すべてが悪質というわけではありません。
Q2. おとり物件かどうかをすぐに見分ける方法はある?
完全に見分けるのは難しいですが、以下のポイントに注意するとリスクを減らせます。
- 相場より安すぎる物件は注意
- 問い合わせたらすぐに「決まりました」と言われる物件は警戒する
- 「現地集合での内見ができるか」確認するのも有効な方法
Q3. 内見予約をしたのに、当日になって「決まりました」と言われました。どうすればいい?
事前に「募集が終了したら教えてください」と伝えておくと、当日のトラブルを防ぎやすくなります。
もし当日になって突然「決まりました」と言われた場合は、その不動産会社の対応をしっかり観察しましょう。強引に別の物件を勧められた場合は慎重に対応するのがおすすめです。
Q4. 不動産会社に問い合わせるとき、気をつけることは?
問い合わせ時には、次のポイントを意識しましょう。
- 「この物件は本当に契約できるか?」という視点を持つ
- 「この物件が決まった場合、すぐに教えてもらえますか?」と伝えておく
- 同じ物件を他の不動産会社にも問い合わせて比較する
これにより、無駄なやり取りを減らし、より正確な情報を得られます。
Q5. おとり物件を見つけたら通報できる?
SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトには通報機能があります。明らかにおとり物件だと感じた場合は、運営側に通報しましょう。
通報があれば、サイト側が調査を行い、問題があれば掲載停止や改善措置が行われます。
Q6. おとり物件を使う不動産会社って全部怪しい?
おとり物件を掲載しているからといって、すべての不動産会社が悪質というわけではありません。情報の更新が遅れてしまった結果、意図せず掲載が残っているケースもあります。
大切なのは、会社の対応を慎重に見極めることです。誠実に対応してくれる不動産会社を選びましょう。