不動産取引の裏側|囲い込みの手口と信頼できる業者の見極め方
更新日: 2025年3月11日

はじめに|賃貸契約における「囲い込み」とは?
囲い込みとは?賃貸契約で損をしないために知るべきこと
「この物件いいな!」と思って問い合わせたのに、「すでに埋まってしまいました」「商談中です」と言われた経験はありませんか?
しかし、後日また同じ物件が掲載されていたり、別の人には案内されていたりする場合、「囲い込み」の可能性があります。
囲い込みとは、管理会社(元付業者)が自社で契約をまとめるために、他の不動産会社に物件を紹介させない行為を指します。
本来なら、人気の物件は広く紹介されるべきですが、管理会社が「他の業者には紹介しない」とすることで、 借主はより良い条件の物件に出会えるチャンスを逃してしまうのです。
囲い込みが引き起こすデメリット
- 本当は借りられたかもしれない物件をスルーしてしまう
- もっと安く借りられた可能性があったのに、交渉の機会を失う
- 「この物件しかない」と思い込み、焦って契約してしまう
囲い込みによって、知らないうちに損をしている可能性も。だからこそ、囲い込みの仕組みと対策を知っておくことが重要です!
なぜ囲い込みが発生するのか?不動産業者の利益構造
囲い込みが発生する最大の理由は、「仲介手数料を最大化するため」です。
仲介手数料の仕組み
- 通常の取引(他社が客付けする場合)
→ 借主が支払う仲介手数料1ヶ月分は、客付け業者が受け取る。 - 囲い込みする場合(自社で契約を取る場合)
→ 仲介手数料1ヶ月分を独占できる。
囲い込みによって、管理会社は「手数料を独占できる」だけでなく、競争がなくなるため、 「値下げ交渉」や「契約条件の見直し」をされにくいというメリットもあります。
結果として借主に生じるデメリット
- もっと安く借りられた可能性があるのに、そのチャンスを逃す
- 他社からのより良い提案の機会が失われる
- 「この物件しかない」と思い込み、焦って契約してしまう
このように、囲い込みは借主にとって大きな損失となる可能性があります。
囲い込みの実態と対策を知っておけば、余計な手数料を払わされたり、良い物件を逃したりするリスクを減らすことができます。
次のセクションでは、囲い込みの具体的な手口や見抜き方、対策について詳しく解説していきます!
囲い込みの手口|借主にどんな影響があるのか?
手口① 他社への客付けを拒否し、特定の不動産会社でしか契約できないようにする
通常、管理会社(元付業者)は空室を早く埋めるため、複数の不動産会社(客付け業者)に物件情報を提供します。
しかし、囲い込みが行われると、管理会社が意図的に他社への紹介を制限し、自社でしか契約できない状況を作り出します。
具体的な手口の例は以下の通りです。
- ポータルサイトで気に入った物件を見つけて他社に問い合わせたところ、「その物件は紹介できません」と言われる。
- 「すでに商談中です」と説明されるものの、実際には契約されていないケース。
実際には契約されていないのに、他の業者に契約させないように拒否するケースがあり、これによって借主は選択肢を狭められてしまうのです。
手口② 人気物件を独占し、家賃交渉や契約条件を有利に進める
囲い込みは、特に人気の高い物件で多く見られます。
その理由は、囲い込みによって以下のような不動産会社のメリットが生まれるためです。
- 競争がなくなり、家賃交渉が難しくなる
- 借主に「他の選択肢がない」と思わせ、不利な条件でも契約を促せる
よくある囲い込みのパターンは次のとおりです。
- 「すぐに決めないと埋まりますよ」と急かされる。
- 「この物件は特定の不動産会社でしか申し込みできません」と説明される。
借主が焦って契約を進めることで、本来より不利な条件で契約してしまうリスクがあります。
手口③ 囲い込みを利用した「おとり物件」との関係
囲い込みは、「おとり物件」と組み合わせて使われることもあります。
おとり物件とは、実際には契約できない物件を広告に掲載し、来店を促すために利用される手法です。
具体的な流れの例は以下の通りです。
- ポータルサイトで理想的な物件を見つけ、問い合わせをする。
- 不動産会社から「その物件はすでに決まりましたが、他にご案内できる物件があります」と提案される。
- 実際は、最初の物件は囲い込みにより他社に紹介されなかっただけ。
借主は、「他に良い物件がないなら、今紹介された物件で契約しよう」と焦り、条件の悪い物件で契約してしまうリスクがあります。
つまり、囲い込みとおとり物件の組み合わせによって、借主の選択肢はさらに狭まり、損をする可能性が高くなるのです。
囲い込みの見抜き方|契約前にチェックすべきポイント
囲い込みに引っかからないためには、契約前のチェックが超重要です。「この業者、囲い込みしていない?」と疑問に思ったときに使える具体的な方法を紹介します。
方法① 複数の不動産会社に問い合わせる(紹介可能か確認)
賃貸物件は、複数の不動産会社で紹介可能なのが基本です。SUUMOやHOME’Sなどのポータルサイトで同じ物件が複数の不動産会社から掲載されている場合は、いくつかの会社に問い合わせてみましょう。
問い合わせ時のチェックポイントは以下の通りです。
- 「この物件は紹介できますか?」と複数の会社に聞いてみる。
- ある会社では「商談中です」と言われ、別の会社では「紹介可能です」と回答された場合は要注意。
特定の不動産会社だけが紹介可能という場合、囲い込みをしている可能性が高いです。
また、管理会社(元付業者)からしか契約できないと主張される場合も、意図的に囲い込みをしている可能性があります。
方法② 物件の管理会社に直接問い合わせる
物件の募集状況は管理会社(元付業者)が把握しています。そのため、疑問に感じた場合は、管理会社に直接問い合わせてみましょう。
以下のように確認するのが効果的です。
- 「この物件は他の不動産会社からも紹介できますか?」と率直に聞いてみる。
- 「他社経由でも問題なく契約できますか?」と確認。
そして、以下のような曖昧な回答が返ってきた場合は、囲い込みをしている可能性が高いと考えられます。
- 「直接申し込んでいただく方が早いですよ」
- 「他社経由だと契約に時間がかかるかもしれません」
- 「今は紹介を受け付けていません」
このように、他社を経由した契約を意図的に避けさせようとする回答は、囲い込みの可能性大です。
囲い込みを見抜くための追加アドバイス
- 「現地集合の内見を希望する」と伝える → 囲い込みの場合、現地集合を嫌がるケースが多い。
- 「紹介が難しい理由」を具体的に聞く → 曖昧な説明が続く場合は要注意。
- 別の物件を強引に勧められたら慎重に → 本命の物件を囲い込み、他の物件を売り込もうとすることも。
これらのポイントを押さえておけば、囲い込みに引っかかるリスクを減らせます。少しでも「おかしいな」と感じたら、複数の会社に問い合わせるのがベストです。
まとめ
囲い込みは不動産業界で問題視される行為ですが、必ずしも借主にとって悪いとは限りません。希望する物件が囲い込まれていても、条件が良ければ契約する選択肢もあります。ただし、そのような管理会社は貸主寄りの立場であるため、契約内容や初期費用を慎重に確認することが重要です。
賃貸契約をスムーズに進めるためには、他の不動産会社にも問い合わせて囲い込みの有無を確認し、管理会社に「他社経由の申し込みは可能か?」を尋ねるのも有効です。対応が曖昧な場合は囲い込みの可能性を疑いましょう。通報しても借主に大きなメリットはありません。状況を見極めながら、納得できる物件を選ぶことが大切です。
よくある質問
Q1. 囲い込みされている物件を契約すると損しますか?
必ずしも損とは限りません。条件が良ければ問題なく住めますが、貸主寄りの契約内容になりやすいため、初期費用や契約条件を慎重に確認しましょう。特に、退去時の費用負担や違約金の有無などはしっかりチェックすることが重要です。
Q2. 「商談中」と言われた物件が後日また掲載されていたら囲い込みですか?
可能性はありますが、単なる情報の更新遅れのケースもあります。他の不動産会社にも問い合わせて、対応の違いを比較するのがおすすめです。特定の会社だけが「紹介できる」と言う場合は、囲い込みの可能性を疑いましょう。
Q3. 囲い込みを防ぐ方法はありますか?
完全に防ぐのは難しいですが、以下の対策で見抜きやすくなります。
- 同じ物件を複数の不動産会社に問い合わせ、対応の違いを確認する
- 管理会社に「他社経由での申し込みは可能ですか?」と確認する
- 内見の際に現地集合を依頼する → 囲い込みがある場合、現地集合を拒否されることが多い
Q4. そもそも囲い込みはなぜ起こるのですか?
管理会社が自社の利益を優先するためです。囲い込みをすることで、
- 仲介手数料を独占できる
- 貸主からの評価を高められる(空室期間を短縮し、貸主にアピール)
- 契約交渉を有利に進められる(他社がいないため競争が起こらない)
こうした理由から囲い込みが発生するケースがあります。
Q5. 大手の管理会社でも囲い込みはあるのですか?
大手管理会社でも囲い込みの疑いが指摘されることはあります。ただし、すべての大手企業が囲い込みをしているわけではありません。会社や担当者によって対応が異なるため、丁寧に対応してくれるかどうかを見極めることが大切です。
もし不安がある場合は、複数の不動産会社に問い合わせることや、口コミで評判を調べるのも効果的です。